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医療ソーシャルワーカーの将来性は?現状と今後のニーズを確認
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病院などの医療現場に勤務し、患者やその家族を社会福祉の立場でサポートする医療ソーシャルワーカー。
その仕事内容は多岐に渡り、患者の相談業務、利用可能な医療・社会制度の提案、入退院時の調整や、関連する機関・施設との連携などを行います。
これから医療ソーシャルワーカーを目指したいという方の中には、この職業の将来性が気になる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、医療ソーシャルワーカーの将来性に焦点を当て、この職業の現状や課題、今後のニーズ、仕事を続けていくために必要なことについて説明していきます。
目次
医療ソーシャルワーカーの現状と課題とは?
まず始めに、医療ソーシャルワーカーの仕事の現状を確認し、現代における課題を考えていきましょう。
給与面の待遇
医療ソーシャルワーカーの平均的な給料は、初任給が約20万円、年収が約300万円とされており、一般的に見れば高くはないが、低すぎるというわけでもない額です。
社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格の保有者や、役職に就いている方、勤務年数が長いベテランの方には、手当てがつくこともあります。
また、公務員として児童相談所や福祉事務所といった職場で働く方の平均年収は、約500
万円になるので、給料面で恵まれていないわけではありません。
ただ、勤務先によって給料や労働条件も異なるので、実際に医療ソーシャルワーカーとして働いている方の中には、給料が仕事内容に見合っていない、キャリアパスがないと感じる方もいるようです。
人手不足
医療ソーシャルワーカーは重要な役どころではありますが、その人数は全国で1万人強と、かなり少なく、貴重な存在です。
これは、100床あたりに1人以下という数字で、医療ソーシャルワーカーを配置しない病院も多く存在します。
人手不足の原因は、医療ソーシャルワーカーの給料に関して、医療保険での診療報酬扱いにならないので、医療機関にとっては人件費がかかってしまうという背景があるからです。
世の中に、医療ソーシャルワーカーの認知度と必要性が広まることによって、課題の解決に繋がることを願うしかありません。
同期がいない職場環境
医療ソーシャルワーカーの職場は、一般的な会社のように、同じ時期に入社する同期が存在しないことがほとんどです。
医療関係者と連携をとって仕事を進めていくため、同僚と呼べる人は存在します。
しかし、同期のように気軽に話せて、愚痴や弱音を吐き出せる仲間が近くにいないことに、辛さを感じる方もいらっしゃるようです。
同じ職場での相談相手がいなくとも、職場の外やプライベートで、自分と同世代の医療ソーシャルワーカーのネットワークを作ることができれば、心にゆとりができるでしょう。
認知度が低い
医療ソーシャルワーカーの世間的な認知度は低く、ソーシャルワーカーや社会福祉士、ケアマネージャーといった、仕事内容が似ている他の職業とよく混同されます。
また、職場でも医療ソーシャルワーカーの立ち位置がはっきりとしていないために、誰がやってもいいのに誰もやらない雑務などを請け負うことも多いようです。
仕事の範囲が明確でなく、何をどこまで対応するべきかが曖昧になっているということが、医療ソーシャルワーカーという職業の課題と言えるでしょう。
職場環境の改善のためにも、医療ソーシャルワーカーの役割を明確にする必要がありそうです。
医療ソーシャルワーカーの今後のニーズは?
医療ソーシャルワーカーに対する待遇や職場の現状には、課題が多いということがわかりました。
しかし、これからの時代の変化に伴い、医療ソーシャルワーカーの必要性も変わってきそうです。
医療ソーシャルワーカーの今後の活躍の場やニーズについて、見ていきましょう。
少子高齢化社会
まずは、これからの日本の大きな課題の一つである、少子高齢化社会の影響です。
少子高齢化社会では、医療体制の崩壊が危惧されるほど、患者の人数が増えることが予想されます。
一方で、医療ソーシャルワーカーのニーズは将来的に高まると言えます。
一人暮らしの高齢者の増加に伴い、地域での支援体制づくりが重要になるため、医療機関と地域、人と人を繋ぐ役割を果たす医療ソーシャルワーカーが重要になるのです。
また、医療ソーシャルワーカーの活躍の場は現段階でも、医療機関から老人保健施設・介護施設などの施設へと広がりを見せています。
非正規雇用者、貧困層の増加
非正規雇用者や貧困層の割合の増加も、近年の社会問題の1つです。
経済的に余裕がないために、定期的な健康診断を受けない方や、身体に違和感があっても長期間放置してしまうという方は、少なくありません。
また、ネットカフェ難民やホームレスといった住所がない方の場合は、健康保険証を持っていないため病院にかかることをせず、病状が悪化してから救急で来院するというケースもあります。
こういった貧困層の患者の支援は、医療ソーシャルワーカーの重要な役割です
非正規雇用者、貧困層の増加に伴い、医療ソーシャルワーカーの活躍が期待される場も増えそうです。
AI時代の医療ソーシャルワーカー
将来、多くの仕事がAIに取って代わられてしまい、なくなる恐れがある職業も存在すると言われています。
これはあくまで予想の話なので、現段階では確実になくなる職業や、確実に残る職業がなんであるかを断言することは不可能です。
医療ソーシャルワーカーの場合は、主に対人の仕事である上に、将来の社会問題と密に関わる役割を担うため、職業自体が完全になくなってしまう可能性は低いと予想されます。
事務的な作業でのAI化が進んだとしても、人と向き合う仕事では、機械は人間に勝てないのではないでしょうか。
医療ソーシャルワーカーを長く続けていくためには?
医療ソーシャルワーカーの仕事を長く続けていくために必要なことは何でしょうか。
医療ソーシャルワーカーの現状と課題や、これからのニーズを踏まえて考えてみましょう。
勉強し続ける
医療ソーシャルワーカーとして長く働き続けるためには、常に勉強して、新しい知識を学ぶことが大事です。
社会福祉士や精神保健福祉士の資格は応募条件にされていることが多いので、既に取得している場合がほとんどかもしれません。
医療ソーシャルワーカーの仕事は、患者の問題解決ができる社会制度を提案することなので、社会制度や医療制度、社会資源などについての知識を増やしておくと、患者に対してより良い支援ができるようになります。
キャリアアップする
医療ソーシャルワーカーとして長く働きたいのであれば、キャリアを積むことも大事です。
1つの勤務先に長く勤めていれば給料は上がりますが、転職した際に、転職前よりも待遇が良くなるとは限りません。
医療ソーシャルワーカーとしてのキャリアアップとして、主任、係長、課長、部長といった役職に就くというのも効果的ですが、簡単になれるものでもないので、努力と信頼が必要です。
給料を上げたいという方の場合は、公務員への転職も視野に入れてもいいかもしれません。
キャリアアップのための転職は自己成長につながりますが、職場で上手くいかずに転職を繰り返すというような場合は、あまり印象が良くないので気をつけてください。
人間性を磨く
医療ソーシャルワーカーの仕事に限らず、どんな職業に就くとしても重要になるのは、「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえるような人間性です。
将来、多くの職業がAIに取って代わられると言われています。
もちろん、仕事が正確にこなせることも大事なのですが、それだけでは機械と同じになってしまいます。
仕事をする上で機械と差別化するためには、コミュニケーション能力や気配りできる能力を高め、豊かな人間性をもった医療ソーシャルワーカーを目指す必要がありそうです。
まとめ
医療ソーシャルワーカーの認知度はまだまだ高いわけではなく、職場の課題も多くあります。
しかし現在、医療ソーシャルワーカーとして働いている方は、患者の問題を解決してあげることができるこの仕事に、やりがいを感じています。
日本は将来、様々な社会問題に直面することが予想されます。
少子化・超高齢化を始め、貧困問題、外国籍の方の支援、虐待などによって親から引き離された子ども…そういった問題の渦中にいる患者のサポートも、医療ソーシャルワーカーの仕事です。
医療ソーシャルワーカーのニーズが多様化していく中で、この仕事に興味を持ったあなたは、尊い存在です。
ぜひ、患者を笑顔にできる医療ソーシャルワーカーを目指してくださいね。