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医療ソーシャルワーカーになるには?資格・仕事内容・給料まとめ
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医療ソーシャルワーカー(MSW)は、医療機関で働く社会福祉の専門家です。
入退院後の生活支援や相談業務など、患者さんの社会復帰に向けたサポートを行います。
医療ソーシャルワーカーの仕事をする際には、特別な資格は必要ありません。
とはいえ、ほとんどの医療機関では、社会福祉士や精神保健福祉士といった国家資格が必須になっています。
そのため、医療ソーシャルワーカーになるには、社会福祉士または精神保健福祉士の資格が必要になると言えるでしょう。
そこでこの記事では、医療ソーシャルワーカーとして働くために必要な社会福祉士と精神保健福祉士の資格の違いを説明した上で、それぞれの資格の取得方法を紹介します。
また、後半では医療ソーシャルワーカーの仕事内容や給料など、気になる医療ソーシャルワーカーの情報も合わせて紹介するので、参考にしてみてくださいね。
目次
「医療ソーシャルワーカー」という資格は、正式にはない
実は、医療ソーシャルワーカーの仕事をする際には、特別な資格は必要ありません。
しかし、ほとんどの医療機関では社会福祉士や精神保健福祉士といった国家資格が必須になっています。
そのため、医療ソーシャルワーカーになるには、社会福祉士または精神保健福祉士の資格が必要になると言えるでしょう。
社会福祉士と精神保健福祉士のどちらの資格を取得すれば良いか迷うところですが、基本的に精神科のある病院で働きたい場合には精神保健福祉士、そうでない一般病院で働きたい場合には社会福祉士の資格が求められることが多いです。
とはいえ、それぞれの仕事内容について知っていた方が今後の進路の役に立つので、まずは社会福祉士と精神保健福祉士の違いについて紹介します。
社会福祉士と精神保健福祉士の資格の違い
社会福祉士と精神保健福祉士の違いは、大きく分けて「仕事内容と資格」の2つがあります。
ここでは、社会福祉士と精神保健福祉士の違いについて紹介します。
社会福祉士と精神保健福祉士の違い①仕事内容の違い
まず、社会福祉士と精神保健福祉士は仕事内容が異なります。
社会福祉士は、介護や障害、児童虐待や生活保護など、社会福祉に関する悩みを抱える人全員を対象とします。
社会福祉のエキスパートとして、このような悩みを抱える人が自立した生活を送れるようにするサポートをする仕事です。
一方で、精神保健福祉士は、社会福祉の中でも精神的に心の病を抱える人が対象です。
精神病院やクリニックなどでカウンセリングを行い、心の病を抱える人の悩みを少しでも軽減できるように務めます。
社会福祉士と精神保健福祉士の違い②資格の違い
社会福祉士と精神保健福祉士の資格は異なりますが、業務内容が似ていることから資格を取得する方法については似ているところが多いです。
社会福祉士と精神保健福祉士はどちらも国家資格であり、試験を受けるには条件を満たす必要があります。
どちらの資格を取ろうかすぐに決められないという方でも、不安に思う必要はありません。
社会福祉士と精神保健福祉士はどちらも国家資格ではありますが、基本的に試験内容や求められる条件などは共通している部分が多いので、特に決まっていない場合には、まずは社会福祉士の資格取得を目指すのがオススメです。
医療ソーシャルワーカーになる方法
ここでは、社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取るための方法を紹介します。
医療ソーシャルワーカーになる方法①社会福祉士の資格を取る
社会福祉士の資格を取るには、国家試験を受けて合格する必要があります。
この試験を受けるには受験条件を満たしていることが必要で、大きく分けて5つのルートが存在します。
受験ルートは以下の通りです。
- 福祉系の4年制大学ルート
・福祉系4年制大学で指定科目を履修する
・福祉系4年制大学で基礎科目のみ履修した場合、短期養成施設6ヵ月以上 - 福祉系の短大ルート
・3年制または2年制の短大で指定科目を履修している場合、実務経験1年以上または2年以上
・3年制または2年制の短大で基礎科目のみ履修している場合、実務経験1年または2年+短期養成施設6ヶ月以上 - 社会福祉士主事養成機関ルート
・相談援助の実務経験2年+短期養成施設に6ヵ月以上 - 福祉系以外の4年制大学、短大ルート
・福祉系以外の一般の4年制大学を卒業した場合、一般養成施設1年以上
・福祉系以外の一般の3年制または2年制の短大を卒業した後、相談援助の実務経験を1年または2年積み、さらに一般養成施設に1年以上通うこと - 実務経験ルート
・福祉に関する特定の仕事4年の場合、実務経験4年+短期養成施設6ヵ月以上
・それ以外の相談援助業務4年の場合、実務経験4年+一般養成施設1年以上
時間はかかってしまいますが、福祉系の大学や短大を卒業していない場合でも社会福祉士になることができます。
医療ソーシャルワーカーになる方法②精神保健福祉士の資格を取る
医療機関の中でも、精神科の病院やクリニックなどで医療ソーシャルワーカーとして働く時には、精神保健福祉士の資格を持っていることが条件となる場合が多いです。
精神保健福祉士は、社会福祉士や介護福祉士と共に福祉系の三大資格とされており、貴重な国家資格といわれます。
試験を受けるには受験条件を満たす必要があり、全部で5つのルートがあります。
受験ルートは、以下の5通りです。
- 福祉系の4年制大学ルート
・福祉系の4年制大学で指定科目を履修すること
・福祉系の4年制大学で基礎科目を履修した後、短期養成施設に6ヵ月以上通うこと - 福祉系の短大ルート
・3年制または2年制の短大で指定科目を履修している場合、実務経験1年以上または2年以上
・3年制または2年制の短大で基礎科目のみ履修している場合、実務経験1年または2年+短期養成施設6ヶ月以上 - 社会福祉士登録者ルート
・短期養成施設に6ヵ月以上通う - 福祉系以外の4年制大学、短大ルート
・福祉系以外の一般の4年制大学を卒業した場合、一般養成施設1年以上
・福祉系以外の一般の3年制または2年制の短大を卒業した後、相談援助の実務経験を1年または2年積み、さらに一般養成施設に1年以上通うこと - 実務経験ルート
・病院や施設などで相談援助業務を4年間経験したあと、一般養成施設に1年以上
ちなみに、これは社会福祉士の資格を取るためのルートとほとんど同じです。
社会福祉士と精神保健福祉士は試験日も同じのため、精神保健福祉士を目指している人は社会福祉士の資格も一緒に取ることが可能になっています。
医療ソーシャルワーカーの仕事内容
医療ソーシャルワーカーの仕事は、医療機関における相談業務や、他の機関との調整業務が中心です。
患者さんとその家族が、病気やケガをきっかけに抱く不安を解消するために働きかけます。
医療ソーシャルワーカーの仕事内容①相談業務
医療ソーシャルワーカーは、社会福祉の中でも医療に関する専門家として、患者さんや家族が抱える様々な相談に乗ります。
初めての入院で、入院中や退院後の生活に不安を抱える患者さんは多いです。
今まで大きな病気をしたことがなく、体の変化や治療費のことなど、闘病生活中には様々な困難が待ち受けます。
このような問題でさらに病状が悪化してしまうこともあるので、医療ソーシャルワーカーが的確なアドバイスをし、患者さんの医療に関する不安の解消に繋げることが大切です。
特に、手続きに関しては複雑な部分も多いので、使える制度やサービスをわかりやすく説明することが求められます。
医療ソーシャルワーカーの仕事内容②調整業務
医療ソーシャルワーカーは、患者さんと関係施設との調整役を担います。
例えば、高齢の患者さんが退院後に介護施設に移る際には、退院日と入所日を調整する必要があります。
患者さんが極力ストレスなく、スムーズに移動できるような気配りが必要です。
施設によっては対応が難しい方もいますが、臨機応変な対応を心がけましょう。
医療ソーシャルワーカーの年収・給料
医療ソーシャルワーカーに関する厚生労働省の正式なデータは公開されていません。
そのため、インターネットで公開されている医療ソーシャルワーカーの給料の平均値を出してみると、医療ソーシャルワーカーの給料は、働く場所によって差があるようです。
例えば、民間の病院やクリニックで働く医療ソーシャルワーカーは、平均年収300〜400万円とされています。
一方で、国立病院や市区町村などの役所で公務員として働く医療ソーシャルワーカーは、平均年収400〜500万円と言われています。
医療ソーシャルワーカーとして実際に働いている人が言うには、もらえるお給料は決して高くはないそうです。
とはいえ、事務仕事がメインであるという働きやすさと、大きなやりがいが得られるのは、医療ソーシャルワーカーとして働くメリットと言えるでしょう。
医療ソーシャルワーカーに向いている人
医療ソーシャルワーカーに向いている人は、以下のような人です。
- 人の話を聞くことが得意な人
- 調整役が得意な人
この2つの特徴について、詳しく解説していきます。
人の相談に乗ることが得意な人
医療ソーシャルワーカーは、相談業務が中心となります。
そのため、人の話をしっかりと聞き、相談者に寄り添ってアドバイスできる人が向いているといえるでしょう。
相談を受ける立場においては、相手に心を開いてもらうことが大切です。
話しやすい雰囲気づくりを心がけましょう。
調整役が得意な人
医療ソーシャルワーカーは、人と人との間に立って調整役を務めることも多いです。
入院中の患者さんが退院して介護施設に移る際には、退院日や施設の入所日を調整し、スムーズに移動できるように対応します。
各施設によっては対応が難しい人もいるかもしれませんが、臨機応変に対応し、柔軟な姿勢で業務に取り組むことも必要です。
医療ソーシャルワーカーの将来性
近年では、ストレスによる心の病や家庭内暴力(DV)など、社会福祉に関する悩みを抱える人が増えています。
そのため、このような人をサポートする医療ソーシャルワーカーの需要が高まっている現状です。
また、医療ソーシャルワーカーになる方であれば、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っているかと思います。
これらは国家資格であり、社会福祉に関する豊富な知識と経験をアピールできるのが強みです。
医療ソーシャルワーカーの未来は明るいと言えるでしょう。
医療ソーシャルワーカーの1日
ここでは、病院で働く医療ソーシャルワーカーの1日を紹介します。
- 8:00 出勤
- 8:30 ミーティング
- 9:00 入院中の患者さんからの相談を受ける
- 12:00 お昼休憩
- 13:00 入院する患者さんに、今後のスケジュールを説明
- 15:00 退院して介護施設に移る患者さんの状況を確認、スムーズな移動を手配
- 16:00 1日の相談内容をまとめた報告書を作る
- 17:00 退勤
大まかなタイムスケジュールは決まっていますが、ぴったり予定通りに行くことはありません。
その日の相談内容や重要度によって、柔軟な対応が求められます。
医療ソーシャルワーカーの職場
医療ソーシャルワーカーは、社会福祉の中でも「医療」に特化しているので、働く場所は医療機関が多いです。
例えば、以下のような施設になります。
- 病院
- クリニック
- 保健所
- リハビリ施設
医療ソーシャルワーカーとしての職場はこのような医療機関がメインになりますが、医療ソーシャルワーカーになる方は、おそらく社会福祉士または精神保健福祉士の資格を持っていることでしょう。
その場合、介護施設や障害者施設、児童相談所などでも働くことが可能です。社会福祉士などの資格を持っていることで、活躍の場が大幅に増えます。
医療ソーシャルワーカーを目指すきっかけ
医療ソーシャルワーカーを目指す人は、「人の役に立ちたい」と、強い思いを抱いている人が多いです。
幼い頃に職業体験で福祉職の素晴らしさを体験した人や、実際に自分や家族が医療ソーシャルワーカーにお世話になった経験から、医療ソーシャルワーカーを志すようになったという人もいます。
福祉の仕事ほど、人から直接感謝の言葉をもらう職業はないでしょう。
それだけやりがいのある、魅力的な仕事だといえます。
医療ソーシャルワーカーと他の職種との違い
医療ソーシャルワーカーの他に、似たような職種との違いを紹介します。
医療ソーシャルワーカーと生活相談員の違い
医療ソーシャルワーカーと生活相談員は、どちらも社会福祉士が担当できる職業です。
どちらも相談業務が主になる仕事ですが、働く場所によって名称が変わります。
病院やクリニックなどの医療機関で働く場合には医療ソーシャルワーカーと呼ばれ、介護施設で働く場合には生活相談員と呼ばれます。
資格を取得して、憧れの医療ソーシャルワーカーになろう!
今回の記事では、医療ソーシャルワーカーになるために必要な資格について紹介しました。
医療ソーシャルワーカーに特別な資格は必要ありませんが、募集の際に「社会福祉士」または「精神保健福祉士」の資格保持者を条件とする病院やクリニックが多いです。
社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得しておくことで今後のキャリアの選択肢も広がるので、どちらかの資格を取っておきましょう。
時には困難もありますが、医療ソーシャルワーカーとして相談を受けた相手から感謝の言葉を直接いただいた時には、大きなやりがいを感じることができます。
仕事としてのやりがいや魅力はもちろん、医療ソーシャルワーカーは今後の活躍が期待される仕事です。
これからも需要が高まる医療ソーシャルワーカーの資格を取得して、医療ソーシャルワーカーになりましょう!