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ケアマネジャーに将来性はある?現状と今後の課題をチェック
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ケアマネジャー(介護支援専門員)は、1997年(平成9年)に誕生した介護保険制度とともに、新設された資格です。
介護のプロとして、ケアプラン作成や介護相談など、介護支援利用者一人一人に合ったケアマネジメント業務を遂行します。
ケアマネジャーの資格は介護福祉士や保健師などの国家資格を取得後、5年以上の実務経験を積むことで受験が可能です。
そこで今回の記事では、ケアマネジャーの資格取得を検討している方のために!
ケアマネジャーの現状から将来性、今後の課題などを解説していきます。
目次
ケアマネジャーの現状
介護保険制度とともに誕生した、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格。
設立当初は比較的簡単に取得できる資格として有名でしたが、近年は受験者数と合格者数の減少が顕著です。
それでは一体なぜ、このような事態が起きているのでしょうか?
2018年にケアマネジャーの受験資格が改定
ケアマネジャー(介護支援専門員)の合格率は年々減少を続け、現在その合格率は20%を下回っています。
その大きな原因としてあげられるのが、2018年に行われたケアマネジャーの受験資格の改定です。
今までは国家資格以外の資格取得者(ホームヘルパー2級など)あるいは無資格でも、介護の現場で5年以上の実務経験があれば、ケアマネジャーの受験資格を得ることができました。
しかし2018年以降は、以下のように受験資格が改定されています。
- 指定された国家資格を取得後、5年以上かつ900日以上の実務経験がある
- 相談援助業務の経験が5年以上かつ900日以上ある
ちなみに指定された国家資格とは、具体的には以下の資格が当てはまります。
- 医師・薬剤師
- 歯科医師・歯科衛生士
- 保健師
- 看護師准看護師
- 理学療法士・作業療法士
- 介護福祉士
- 視能訓練士・義肢装具士
- 栄養士・管理栄養士
- 精神保健福祉士
- 言語聴覚士
これらの受験資格改定は、近年のケアマネジャーの需要の高まりを受けて、その専門性を向上させるために行われたものです。
が、受験のハードルがあがったことで、受験率や合格率は低下。
ケアマネジャーの増加する需要に相反して、人員不足を招く原因となっています。
受験者数も減少
ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格試験では、合格率だけでなくそもそもの受験者数も減少しています。
ケアマネジャーは、非常に忙しいとされる仕事です。
ケアプランの作成だけでなく、介護支援利用者への介護訪問、介護関係者との打ち合わせ
それと並行して、要介護認定手続きの申請代行などの事務作業も行います。
また施設ケアマネージャーの場合は、介護スタッフと兼任で働くことも珍しくありません。
このように肥大化する業務量に対して、ケアマネジャーの処遇改善はいまいち進んでいないというのが現状。
「給料と仕事量が見合っていない」と感じる若者も多く、ケアマネジャー資格の受験者数は減少傾向にあります。
ケアマネジャーの今後の需要
先進国での高齢化はどんどん進んでいます。
間近に直面する危機としては、いわゆる団塊の世代と呼ばれる人々たちが全員後期高齢者となる2025年問題。
そしてこのまま高齢化が進めば、なんと2055年には全人口の4人に1人が75歳以上になります。
このように要介護者の増加が予想されるのに対して、介護業界は人手不足。
当然、居宅ケアマネ・施設ケアマネを問わず、ケアマネジャー(介護支援専門員)の需要は増えることが予想されます。
ケアマネジャーの将来性
ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格の受験者数・合格率はともに減少傾向にありますが、それでもケアマネジャーが世の中で今後必要とされることに変わりはありません。
確かに、直接介助に携わる介護職員と違って、ケアマネジャーは施設ごとに必要人員の数が決まっています。
このため求人も介護の仕事と比べて少なめに感じられるかもしれませんが、近年、介護施設は増加する一方。
ただでさえ今、各事業所はケアマネジャーの人員確保に必死ですから、時代が進めば進むほど、ケアマネジャーの活躍の場は増えるといえるでしょう。
今後の需要を考えるとケアマネジャーは将来性のある仕事なので、今のうちに頑張って資格を取得しておくのがおすすめです。
主任ケアマネージャーの資格をとるとさらに有利
実は2021年の3月から新たに「居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーでなければならない」という介護保険法の改定があります。
主任ケアマネージャーとは、ケアマネジャー(介護支援専門員)の上級資格。
ケアマネジャーとして5年以上の実務経験を積んだ人が70時間の研修を受けることで、取得できる資格です。
この介護保険法の改定を考えると、今後主任ケアマネージャーの需要が増えることは火を見るよりも明らかです。
そもそもケアマネジャーになるには5年以上の実務経験が必要なので、主任ケアマネージャーになるには最低でも10年はかかる計算になりますが、目指しておいて損はありません。
このようにケアマネジャーの資格取得を目指している人は、主任ケアマネージャーの道まで見据えておくと、将来さらに有利に働くでしょう。
ケアマネジャーの今後の課題
今後さらなる需要の増加と将来性が見込まれるケアマネジャー(介護支援専門員)。
しかしケアマネジャーの資格取得の受験者数、合格者は減少の一途をたどっており、そのせいでケアマネジャーは少人数で多数の仕事をまわさなくてはならないというのが現状です。
そこで今後は、よりケアマネジャーが働きやすい環境を作り、優秀なケアマネジャーが増えるような基盤が構築されることが求められます。
- 給与の処遇改善
- 人員不足の解消
- ケアマネジャーの質の向上
ケアマネジャーの今後の課題である、以上の2つについても見ていきましょう。
給与の処遇改善
現役のケアマネから最もあがっている不満の声は、「給料が仕事に見合っていない」ということです。
2018年における国税庁の民間給与実態統計調査によれば、日本の民間企業の平均給与は、年間441万円。
それに対して介護業界は全体的に給与水準が低く、介護支援専門員であるケアマネジャーでもその年収は300万円〜400万円の間と言われています。
さらに、介護士に対する処遇改善が何度も行われてきたのに対し、ケアマネジャーの処遇改善はあまり進んでいません。
介護福祉士からケアマネジャーになると責任や業務量は増えるのに、大して給料は変わらないという実態が、資格取得の意欲をそいでいるんですね。
もちろん、ケアマネジャーは介護支援利用者一人一人に寄り添う、大変やりがいのある仕事です。
しかし、今後ケアマネジャーを目指そうという若者を増やすためには、給料の改定などの処遇改善が求められます。
主任ケアマネの人員不足
慢性的な人員不足に悩まされているケアマネジャー(介護支援専門員)ですが、直近の課題としては主任ケアマネージャーの不足があげられます。
2021年に施行される「居宅介護支援事業者の管理者は主任ケアマネージャーでなくてはならない」という介護保険法の改定。
これは言い換えれば、2021年3月までに主任ケアマネージャーのいない事業所は2廃業に追い込まれてしまうということです。
しかし、厚生労働省が発表した統計によると、2018年時点で主任ケアマネージャーがいない事業所は43.7%。
主任ケアマネージャーは、5年以上のケアマネジャーの実務経験を積んだ人が、70時間の研修を受けることでやっとその資格を手に入ることができます。
事業所が今から大慌てで主任ケアマネージャーを確保しようとしても、とても間に合いません。
つまりこのまま現実を無視した介護保険法の改定が進めば、多くの介護事業所が廃業し、介護サービスを受けられなくなる利用者が増えるということ。
この実態を踏まえて介護業界では、「経過期間をもう3年延ばせないか」という働きかけが行われていますが、未だ結論は不透明なままです。
ケアマネジャーの質の向上
ケアマネジャー(介護支援専門員)が減少している大きな原因は、主に2つ。
まずは、国家資格や5年以上の実務経験など、その受験資格のハードルが高いこと。
そして2つ目は、給料に対してその業務量がどんどん肥大していることです。
ケアマネジャーの人員不足を改定するには、受験資格のハードルを下げればよいと思うかもしれませんね。
しかし、ケアマネジャーは介護のプロとして介護支援利用者のケアプランを作成するのが主な仕事です。
医療知識や経験に乏しいと、的確なプランや指導の作成ができません。
実際、看護師からケアマネジャーの資格を受験する人は近年大幅な減少傾向。
今は介護福祉士など、介護業界からの受験希望者数が増えていますが、これ以上受験資格のハードルを下げてしまうと、将来的にケアマネジャーの質が落ちてしまうことになります。
その専門性を保ちながら人員不足を解消していくことが、ケアマネジャー全体に対する大きな課題です。
まとめ
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、今後需要の増加が見込まれる、将来性のある仕事です。
特に20201年春には介護保険法が改定され、居宅介護支援事業所の管理者はケアマネジャーの上級資格である主任ケアマネージャーに限られることになります。
今後主任ケアマネ含め、ケアマネージャーの活躍の幅はさらに広がることが予想されますので、介護のプロを目指すにはもってこいの資格だといえるでしょう。