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ケアマネジャーと社会福祉士の違いとは?仕事内容・資格・給料の3つで徹底比較
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ケアマネジャーと社会福祉士は、どちらも介護に関する仕事です。
簡単にいうと、ケアマネジャーは介護サービスの計画書を作り、介護が必要な人を総合的にサポートします。
一方で、社会福祉士の仕事は介護に限定したものではありません。
体や心に障害があり、日常生活を送ることが困難な人たちのサポートをするのが仕事です。
今回の記事では、介護福祉士と社会福祉士の違いを「仕事内容、資格、給料」の3つの面から紹介します。
また、それぞれの仕事に向いている人も併せて紹介しますので、今後の仕事を選ぶ際に参考にしてみてください。
目次
ケアマネジャーと社会福祉士の仕事内容の違い
ケアマネジャーの仕事は、介護が必要な人の総合的なサポートをすることです。
介護サービスを使うための計画書をはじめ、給付金の管理や関係機関との調整など、様々なことに携わります。
ケアマネジャーは、利用者や家族にとって最も身近で頼りになる存在なのです。
一方で、社会福祉士の仕事は介護に限定したものではありません。
体や心に障害があり、日常生活を送ることが困難な人たちのサポートをするのが仕事です。
働く場所と仕事内容により呼び方が変わります。
ケアマネジャーの仕事内容
介護が必要な人のそばで、総合的にサポートをするのがケアマネジャーです。
利用者専用のマネージャーのような役割をします。
ケアマネジャーの仕事内容は、ケアプランの作成をはじめ相談業務や給付管理業務、要介護認定申請業務など、実に幅広いです。
ケアマネジャーの仕事内容①ケアプランの作成
ケアマネジャーの主な仕事は、ケアプランを作成することです。
ケアプランとは、介護のスケジュール表のようなもので、「何曜日の何時からどんな種類のサービスを入れるか」といったように介護サービスを組み合わせていきます。
このケアプランの作成は、要介護者が自立した生活を送れるようになるために大切なもので、対象者をよく観察し、課題を分析してどのようなサービスを入れていくのかを考える必要があります。
ケアマネジャーの仕事内容②要介護者や家族からの相談業務
ケアマネジャーは要介護者や家族と、サービス事業所をつなぐ存在です。
自分の親が介護を必要とする状況となった時に、もっともお世話になるのがケアマネジャーだと言えます。
サービス事業所にクレームがあったり、介護に関して相談したい事がある場合には、ケアマネに相談することになるので、うまく調整する能力が求められるでしょう。
ケアマネジャーの仕事内容③給付管理業務(介護報酬の計算・申請)
まず、給付管理業務とは何かを説明します。
- 利用者が介護サービスを使ったときに、そのサービスを提供した事業所が国民健康保険団体連合会(通称:国保連)に請求する
- ケアマネは利用者が毎月どんなサービスをどれくらい使ったのかをまとめた給付管理票というものを国保連に送る
- 国保連はそれを突き合せて、一致したら事業所にお金が入る
この介護報酬にかかる一連の流れの中で、ケアマネジャーは給付管理票の作成を担当します。
この給付管理に関する業務を給付管理業務といい、給付管理票は毎月10日までに国保連に送らなければならないので、毎月10日付近は全国のケアマネさんにとって忙しい時期といえます。
ケアマネジャーの仕事内容④要介護認定申請業務
要介護認定には期限があるため、期限が来るたびに更新する必要があります。
そのため、担当している要介護者の介護認定の更新時期が来たら、要介護認定の更新申請を市区町村に提出します。
本来であれば、介護認定を受けている人や、その家族が申請するものですが、ケアマネジャーの代行が可能です。
社会福祉士の仕事内容
社会福祉士の仕事は介護に限定したものではありません。
体や心に障害があり、日常生活を送ることが困難な人たちのサポートをするのが仕事です。
介護が必要な人を始め、障害者や児童福祉、生活困窮者まで様々な人と関わります。
それぞれ働く場所と呼び方が異なりますが、基本的には相談業務に携わることが多いです。
相手の立場で話を聞き、「どうしたらよりよく生活していくことができるのか」を、いっしょに考えていきます。
社会福祉士の仕事内容①介護施設の生活相談員
社会福祉士が介護施設で働く場合には、「生活相談員」と呼ばれます。
生活相談員の仕事は、施設の利用者や、その家族からの相談に乗ることです。
「利用者が困っていることはないか」「家族が不安に感じていることはないか」など、相談を受けた時に解決するために動きます。
また、「施設に入りたい」と希望している入所希望者の相談業務を行い、入所後のミスマッチが無いように内容や料金について説明するのも、生活相談員の仕事です。
社会福祉士の仕事内容②病院の医療ソーシャルワーカー
社会福祉士が病院で働く場合には、「医療ソーシャルワーカー」と呼ばれます。
医療ソーシャルワーカーの仕事は、入院・通院中の患者さんの相談に乗ることです。
入院中や退院後の生活を考えた時に生じる不安や悩みを聞き、患者さん一人一人に合った方法を提案します。
時には家族との考えが食い違うことがありますが、しっかりと話を聞いて、説得することも必要です。
社会福祉士の仕事内容③障害者施設の生活支援員
社会福祉士が障害者施設で働く場合には、「生活支援員」と呼ばれます。
障害者施設に入所を希望する人や、入所している人の相談に応じます。
障害を抱えながら生きていく人の体のサポートを始め、心のケアも大切な仕事です。
また、施設を退所する時には、障害と向き合いながら、今後はどのように生活していくのかをいっしょに考えます。
社会福祉士の仕事内容④児童相談所の児童福祉司
社会福祉士が児童相談所で働く場合には、「児童福祉司」と呼ばれます。
近年では児童虐待や学校でのいじめに関する悩みを抱える子供達が増えており、こうしたことから子供たちを守るのが児童福祉司です。
児童相談所や学校などで活躍し、未来ある子供たちが心も体も健康的に生活していけるようにサポートしていきます。
社会福祉士の仕事内容⑤生活困窮者、DVなど、他にも様々な支援を行う
他にも、生活保護を受けている人や、家庭内暴力(DV)で悩む人の相談に乗ることも、社会福祉士の仕事です。
福祉のスペシャリストである社会福祉士は、社会福祉全般の問題解決に向けて働きます。
ケアマネジャーと社会福祉士の資格の違い
ケアマネジャーは都道府県が認定する資格です。
この試験を受けるには条件があり、レベルの高い試験のクリアと長年の実務経験を求められます。
ケアマネジャーになるには最低でも5年かかるので、資格を持っていることで豊富な知識と経験があることを証明できるのです。
一方で、社会福祉士は国家資格です。
試験を受けるときには受験資格を満たしている必要があり、誰でも受けられる訳ではないので需要が高い資格といえます。
ケアマネジャーの資格
ケアマネジャーの資格を取る際には試験に合格する必要があり、試験を受ける際には受験条件があります。
受験資格は以下の2つの条件をどちらも満たしていることです。
- 対象の職務を経験した期間が通算して5年以上
- 当該業務に従事した日数が900日以上
ここでいう「対象の職務」というのは、医師や看護師などの国家資格が必要な職務や、生活相談員、支援相談員、生活支援専門員、主任相談支援員のことを言います。
これらの職務を経験した期間を全て合わせて5年以上であること、かつその業務に従事した日数が900日以上あることが必要です。
そのため、すぐにケアマネジャーになることはできず、まずはホームヘルパーや介護福祉士として働き、実務経験を積んでからケアマネジャーにステップアップする流れが一般的です。
ケアマネジャーの試験の難易度は高く、厚生労働省の「第21回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」によると、平成30年度のケアマネジャー試験の合格率は10.1%と、かなり低くなっています。
ケアマネジャーの資格について、詳しくはこちらの記事をチェック!
ちなみに、ホームヘルパーと介護福祉士はこちらの記事で詳しく紹介しています。
社会福祉士の資格
ケアマネジャーと異なり、社会福祉士は国家資格です。
社会福祉士の資格を持っている人だけが社会福祉士を名乗ることができますが、資格を持っていなくても相談業務を行うことができます。
そのため、生活相談員や医療ソーシャルワーカーとして働いている人が、必ずしも社会福祉士の資格を持っているというわけではありません。
とはいえ、資格を持っていることで自分のスキルを証明することができ、給料アップにも繋がります。
社会福祉士の資格を取るには「社会福祉士国家試験」に合格する必要があり、この試験は受験条件を満たしていれば受験することができます。
受験条件は以下の通りです。
この6つの条件のうち、どれか1つでも満たして入れば受験できます。
- 福祉系4年制大学で指定科目を履修する
- 福祉系4年制大学で基礎科目を履修し、6ヵ月以上の実務経験を積む
- 福祉系短大で指定科目を1〜2年履修し、1~2年の実務経験を積む
- 福祉系以外の4年制大学を卒業し、1年間以上、一般養成施設に通う
- 福祉系以外の短大を卒業し、1~2年の実務経験を経て、1年間以上、一般養成施設に通う
- 4年以上の実務経験を経て、1年間以上、一般養成施設に通う
最も早く効率的に社会福祉士の資格を取るのであれば、福祉系の4年制大学でカリキュラムを修了する方法がおすすめです。
「社会福祉士になるには、必ず福祉系の大学や短大を卒業していなければならない」というわけではありません。
一般の大学や短大を卒業した人、もしくは高卒の人でも、養成所で勉強して実務経験を積むことで、社会福祉士になることができます。
ケアマネジャーと社会福祉士の給料の違い
ケアマネジャーと社会福祉士は、どちらも取得が難しい資格であり、人材の需要が高いです。
活躍の幅が広いことからも、給料の高い仕事と言われています。
この2つの仕事を比べると、ケアマネジャーの方が給料は高いでしょう。
ケアマネジャーの給料
ケアマネジャーは現場で活躍する介護福祉士に指示を出す存在であり、資格を取ることがかなり難しいため、そのぶん給料が高い傾向にあります。
平均月給は常勤職員で349,980円、非常勤で265,540円です。
ケアマネジャーとして経験を積むことで、キャリアアップして「主任ケアマネ」になることもできます。
こちらはより責任もアップしますが、そのぶんお給料も上がります。
2021年度からは居宅介護支援事業所の管理者の要件が主任ケアマネに限定されるので、大変ニーズのある資格です。
社会福祉士の給料
社会福祉士の試験にも受験資格があり、誰でも受けられるというわけではないので、現場では貴重な存在です。
また、近年では介護や児童虐待、家庭内暴力(DV)など、社会福祉に関する悩みを抱える人が増えています。
そのため、このような人をサポートする社会福祉士の需要が高まっている状況です。
1つの職場だけではなく、介護施設や病院、児童相談所などたくさんの場で活躍する社会福祉士は、その分、給料も高くなります。
厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、常勤職員の平均月給は、336,340円です。
社会福祉士の仕事は資格を持っていなくてもできます。
とはいえ、資格を持っていることで給料アップにも繋がるので、資格を持っていない方は、働きながら社会福祉士の資格取得を目指しましょう。
ケアマネジャーと社会福祉士に向いている人
ケアマネジャーと社会福祉士の仕事内容を踏まえて、それぞれの仕事に向いている人を紹介します。
ケアマネジャーに向いている人
ケアマネジャーは、要介護者や家族はもちろんのこと、看護師や施設職員など様々な人と関わります。
人と人との橋渡し役をする機会が多いので、調整能力が求められる仕事です。
双方にとって納得してもらえるように、均衡力がある人が望ましいといえます。
また、要介護者や家族にとって最も頼りになる存在なので、たくさん悩みや不安を相談されるのがケアマネジャーです。
そのため、世話好きであったり人の相談に乗るのが得意な人は、ケアマネジャーに向いているといえます。
社会福祉士に向いている人
社会福祉士は、どの職場においても相談業務が中心となります。
そのため、人の話をしっかりと聞き、相談者に寄り添ってアドバイスできる人が向いているといえます。
また、相談に来る人は、深刻な悩みを抱えています。
あまり感情移入しすぎてしまうと、自分の心を病んでしまうことも多いです。
そのため、客観的に判断でき、自分の心を強く持つことができる人が望ましいでしょう。
ケアマネジャーと社会福祉士の違いを理解して、介護職を目指そう!
今回の記事では、ケアマネジャーと社会福祉士の違いについて紹介しました。
どちらも同じ介護に携わる職業ですが、ケアマネジャーは介護サービスの計画書を作り、介護が必要な人を総合的にサポートします。
そして、社会福祉士は介護に限らず、障害者や児童福祉、生活困窮者など社会福祉に関する全ての相談業務を行います。
社会福祉士は、社会福祉のスペシャリストです。
介護職は大変なところもありますが、おじいちゃんやおばあちゃんから感謝されるなど、その分やりがいも大きい仕事です。
ケアマネジャーと社会福祉士の違いを理解して、自分にあった職業を選びましょう。